令和6年度広島県社会福祉大会を開催しました!(前編)
2024.12.10 掲載
令和6年11月19日(火曜日)に、アステールプラザ中ホール(広島市中区)において、「令和6年度広島県社会福祉大会」を開催しました。
今回は、大会の様子と県社協会長表彰受賞団体について紹介します。
大会の様子
本大会では、表彰式典と記念講演を行い、被表彰者及び福祉関係者203人にご参加いただきました。
表彰式典では、県知事表彰、県社協会長表彰、県共同募金会会長表彰式を行い、県社協会長表彰では、永年にわたり社会福祉の向上に尽力されている、民生委員児童委員をはじめ、福祉施設や社会福祉協議会・民間福祉団体等の役職員、地域のボランティア団体から、246人、11団体が受賞されました。
記念講演では、NPO法人芹川の河童(せりかわのかっぱ)、一般社団法人ゆめと月詩舎(つきのうたしゃ)代表 川﨑 敦子(かわさき あつこ)様に、「ひきこもりや生きづらさを抱える人も支え支えられる第三の居場所づくり~食から始まる地域の輪~」と題してご講演いただき、ひきこもり状態にある若者の特徴や、地域循環型未来食堂「みんなの食堂」の取り組みから、コミュニティサロンの役割や、当事者も役割を持ち、相互に支援できる「場」にするための運営の工夫点などを学びました。
今回の記念講演を通じて、コミュニティサロン(地域の居場所)の役割の再確認と、ひきこもりや生きづらさを抱える当事者も暮らしやすい地域とするために、福祉関係者や地域住民として今後、何をすべきか、考える機会となりました。
県社協会長表彰受賞団体の紹介
県社協会長表彰社会福祉事業協助団体表彰を受賞された「特定非営利活動法人ひろしまチャイルドライン子どもステーション(以下、ひろしまチャイルドライン)」の上野理事長と吉田事務局長に、ひろしまチャイルドラインの取り組みや表彰を受けての想いなどについて、お話を伺いました。
団体開設のきっかけ
「ひろしまチャイルドライン」は、平成11年12月に、地域における芸術的体験や、野外での遊び体験、社会体験を通じ、子どもと大人が共に育ちあい、子どもが社会参画する機会を広めることを目的とした全国規模の団体「特定非営利活動法人子ども劇場広島県センター(以下、子ども劇場広島県センター)」の事業のひとつとしてスタートし、平成12年3月から子どもの声を電話で受け続け、活動開始から25年目に入りました。
広島で活動を始めたきっかけは、平成10年2月に日本初のチャイルドライン「せたがやチャイルドライン」が開設され、平成11年1月に全国団体の「チャイルドライン支援センター」が開設される中で、全国の各都道府県にチャイルドラインを広げるセミナーなどが実施され、子ども劇場広島県センターの総会で「広島の子ども達にもチャイルドラインを」との思いで、開設することが決定されたからでした。
その後、「ひろしまチャイルドライン」は、平成13年11月に毎週月曜日、土曜日の15時から21時の常設で活動し、平成15年10月にNPO法人の認証を受け、子ども劇場広島県センターから独立し、現行の団体となりました。「ひろしまチャイルドライン」は、広島市以外にも福山市と東広島市でも電話を受信する分室があり、県域の団体です。
ひろしまチャイルドラインの取り組み
「ひろしまチャイルドライン」は、18歳までの子どもを対象とした「子どもがかける専用電話(以下、子ども電話)」に関する事業を行い、子どもの状況を社会に伝えると共に、「子どもの権利条約」の啓発、子どもが豊かに育つ環境創りに寄与することを目的としています。具体的には、「子ども電話」や「オンラインチャット」を通じて、日常的に子どもの声を聴く事業や、学校経由で児童・生徒へチャイルドラインの啓発カードを配付するなどの「子ども電話」の社会的認知を高める事業、「子ども電話」の運営スタッフや電話の受け手など「子ども電話」に携わる人材育成のための研修事業、「子ども電話」が受けとめた子どもたちの声を毎年報告書としてまとめ、行政機関等に配付するなど、子どもに関する諸施策に反映させるため、子どもの声を発信し続けています。
また、令和4年度からは、「広島県子供の権利擁護事業」を受託し、「子どもアドボケイト派遣センター広島」を開設し、広島県内の子どもの一時保護所や養護施設を訪問して子どもと出会い、日常の様々な困りごとや、将来の事など、気持ちを聴いています。子どもの声を聴く大人の仲間を増やすために、この事業の啓発活動、研修会等を実施しています(令和6年度からは、「広島市意見表明等支援事業」も受託)。
現在、「ひろしまチャイルドライン」は、月曜日、木曜日、金曜日、土曜日の16時から21時まで開設しており、「子ども電話」の対応は、「ひろしまチャイルドライン」専用番号からの広島県内の「子ども電話」の対応と、全国団体「チャイルドライン支援センター」専用番号の全国からの「子ども電話」の対応をしています。電話対応においては、電話をする子どもも、電話を受ける受け手も名前は非公開として、子どもが安心して話しやすいように工夫しています。また、電話の受け手は、傾聴を基本として対応し、子どもの「声」を受け止め、聴くことを大切にしています。さらに、電話を受ける時は、「受け手」とその受け手を支える「支え手」のセットで対応し、受け手が負担を抱えないように工夫しています。
表彰を受けての想い
上野理事長の想い
私は、元々、「子ども劇場広島県センター」の会員で、平成11年1月に放映されたNHK教育テレビ40周年記念番組「NHKチャイルドライン」の番組を見て、「チャイルドライン」の活動を知りました。平成9年2月に起きた「神戸市連続殺人事件」のニュースを見て、子どもがこんな事件を起こすようになったかとショックを受け、何かできないかと考えていたときに、チャイルドラインの勉強会に参加したことがきっかけで、「ひろしまチャイルドライン」の活動をはじめました。
今回、栄誉ある賞をいただいて、正直、びっくりしたと同時に、長く地道にやってきた活動が認められたことを嬉しく思いました。また、これを機会に、「ひろしまチャイルドライン」の活動を知ってくれる人や支援の協力者が増えればいいなと思います。
全国では現在、70団体が活動をしています。「ひろしまチャイルドライン」では、毎年1万件近い「子どもの声」に対応しています。“大人が話を聞いてくれない”と悩み、電話をしてくる子どもが多く、この活動を通じて、子どもの話に耳を傾け、受け止めてくれる大人を増やし、今後もこの活動を続けていかねばと思っています。
吉田事務局長の想い
私は、「子ども劇場広島県センター」に携わっており、「ひろしまチャイルドライン」開設に向けた会議に参加したことがきっかけで、「ひろしまチャイルドライン」で活動することになりました。今回の受賞は、上野理事長と同じく、長くやってきた活動が認められたことを嬉しく思います。私が長く活動を続けられているのは、子どもが話せる場が必要だと思っていることや、ときには、難しい電話もありますが、子どもと話すことは自分自身の心と向き合うことができるからだと思います。
今後も引き続き、子どもに寄り添いながら、「ひろしまチャイルドライン」の活動に取り組んでいきたいです。
「ひろしまチャイルドライン」の取り組みから、“大人が話を聞いてくれない”と悩む子どもが多く、自由に「話せる場」を必要としている現状を知るとともに、子どもが生きやすい社会にするためには、まずは、大人が子どもの話に耳を傾け、否定せず気持ちを最後まで受け止めることが大切であることを学びました。また、「ひろしまチャイルドライン」では、「子ども電話」の対応の工夫だけでなく、ポスターやチラシ、ホームページやSNSにより、子どもに対して、「子どもの権利(意見を表明する権利や聴かれる権利など)について発信し、子どもが主体的に話ができるようにされています。大人と子どもが「子どもの権利」を学び、社会全体で共通の「子ども観」を持つことが必要だと学びました。
国においても現在、子ども家庭庁を中心に、「子どもの権利」を保障し、全ての子ども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる社会「こどもまんなか社会」がめざされています。本会としても、子どもが生きやすい社会づくりに向けて、関係機関と連携しながら引き続き、取り組んで参ります。
なお、記念講演の詳細は、次号(2025年1月号)でご紹介します。
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