介護職場サポートセンターひろしまを開設しました!
2024.09.10 掲載
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2025年以降、高齢者の急増から現役世代の急減に局面が変化すると言われており、将来にわたって必要な介護サービスを安心して受けられるよう、介護職場においても生産性向上の取り組みが求められています。
介護職場における生産性向上とは、例えば工場において短時間に多くの製品を作り出すといった、一般的な捉え方とは異なり、介護ロボット等のテクノロジーを活用し、業務の改善や効率化をすすめることにより、職員の負担軽減を図るとともに、それによって生み出された時間を直接的な介護ケア業務に充て、利用者と職員が接する時間を増やすなど、介護サービスの質の向上にも繋げていくことを目的としています。
今回は、広島県内の介護職場の生産性向上を支援するために、令和6年7月から開設した「介護職場サポートセンターひろしま(通称 介サポひろしま)」について紹介します。
1.介護職場サポートセンターひろしまの取り組み
介サポひろしまは、社会福祉法人広島県社会福祉協議会を中心として、一般社団法人日本福祉用具供給協会中国支部広島県ブロック、公益財団法人介護労働安定センター広島支部の3つの団体の協働により運営しています。
介護テクノロジー(介護ロボットやICT機器等)の活用、導入から職場環境の整備、業務改善、雇用管理改善、能力開発まで、関係機関・団体と連携を図り、介護事業所におけるこれらの取り組みを支援します。
具体的には、ICTや介護ロボットの導入、生産性向上・業務改善の取り組み、人材の確保・定着や事業所の魅力発信など、多岐にわたるご相談を受け付けます。加えて、アドバイザーの株式会社TRAPE(トラピ)代表取締役の鎌田大啓(かまたともひろ)さんの助力を得て、「介護の価値を高める」を合言葉として、介護事業所の業務改善に寄り添う伴走支援を行い、介護事業所の経営者、職員の皆さんと一緒になって職場の課題や負担軽減・解決に取り組んでいきます。
その取り組みのプロセスや成果をセミナー等で他の事業所にも広め、共有することで県内の介護事業所の生産性向上の取り組みにつなげていきます。
生産性向上の取り組みは、業務の進め方を振り返り、職員が働きやすい環境をつくっていくために全ての介護事業所にとって必要なことです。整理整頓や職場内の意思疎通を深める等、できることから始めて小さな成功体験を積みあげていくことも生産性をあげていく取り組みの第一歩となります。
介サポひろしまは、県内の介護施設・事業所の皆さまが業務改善をお考えの際に、最初に相談先としてイメージしてもらえる、ファーストコールセンターをめざして取り組みをすすめていきます。
2.介護分野における生産性向上とは<介サポひろしまアドバイザーへインタビュー>
<話し手>株式会社TRAPE(トラピ) 代表取締役 鎌田 大啓さん
令和6年度、介サポひろしまが県内の介護事業所に対して生産性向上の取り組み(良い組織づくり)を推進するため、株式会社TRAPE(トラピ)は、センターと連携し、より良い業務運営を支援するパートナーとして、業務委託契約を締結しました。
ここでは、弊社の紹介と介護業界における生産性向上の意義、そしてその取り組みのポイント、県内介護事業所への支援についてご紹介いたします。
株式会社TRAPEの紹介
弊社は「ウェルビーイング」を大切にしています。一般的にウェルビーイングは幸福と解釈されますが、弊社では「素敵な役割のあふれる日常を創る」というビジョンとして位置づけています。現在の介護事業所がそのような環境になっているかというと、多くの現場ではまだ実現できていないと感じています。これは、「人手不足で〜できない」「忙しくて〜できない」という声が全国の介護事業所から聞こえてくるためです。
介護事業所は、超高齢社会をウェルビーイングに満ちたものにするために欠かせない存在です。だからこそ、弊社はウェルビーイングが溢れる介護事業所を創出するために、2017年から厚生労働省やシンクタンクと協力し、日本の介護サービスにおける生産性向上の取り組みにおいて中心的な役割を果たしてきました。
具体的には、介護事業所向けの生産性向上ガイドラインの作成、厚生労働省の生産性向上に関する委員会の委員を務めるほか、全国セミナーや生産性向上フォーラムでの講演などを行ってきました。また、全国のロボット相談窓口の1/3以上やワンストップ窓口のアドバイザーとして業務支援を実施してきました。さらに、2022年度から2023年度にかけては、全国老人福祉施設協議会のデイ事業継続相談支援事業を受託し、集団コンサルと個別面談を通じて、経営改善計画の策定から成果創出(運営・経営改善)を伴走支援し、介護事業所の可能性を引き出しました。
弊社の伴走支援は、「生産性向上」「働きがい向上」「リーダー育成」の3つを同時に実現することができる生産性向上伴走支援サービス「Sociwell(ソシウェル)」をご提供し、全国の介護事業所における良い組織づくり(現場づくり)を支援しております。
介護業界における生産性向上の意義
介護業界における生産性向上は、2017年に厚生労働省の介護サービス事業における生産性向上に向けた調査委員会で「介護の価値を高める」という定義がなされています。介護には、主に介護職員と利用者(およびその家族)が登場します。彼らにとって、より良い体験を提供することが、結果的に介護の価値を高めることにつながると考えています。
生産性向上の取り組みの本質的な意義は、「自分たちのありたい姿を手に入れるために組織に変革をもたらす」ことです。その手段として、アナログ的な取り組み(従来の業務改善)、役割の転換や多様な働き方の取り組み(介護助手など)、テクノロジーの活用(最終形態はDX(デジタルトランスフォーメーション))などがあります。
生産性向上と聞くと、ICTやロボット機器の活用を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、テクノロジーの活用はあくまで一つの手段に過ぎません。まずは自分たちの現状に適した生産性向上の取り組み(変革体験)へ一歩踏み出してみることをお勧めします。そのうえで、職員がポジティブに変化を実感し、小さな自信や「もっと良くしたい」という欲求が生まれたときにテクノロジーと出会うことで、テクノロジーを最高のパートナーとして迎え入れることができ、最高の体験・成果を生み出すことができるのです。
生産性向上の取り組みのポイント
生産性向上の取り組みは、6つのステップで表現できます。ステップ1はチームを作る、ステップ2は課題を明確にする、ステップ3は実行計画を立てる、ステップ4は改善活動を実施する、ステップ5は行ったことを振り返る、ステップ6は次なる改善活動の準備をするという流れです。成功する生産性向上の取り組みは、前半のステップにしっかりと取り組むことが重要です。「成功の秘訣は準備8割」とよく言われます。いきなり手順書を変えたり、テクノロジーを導入したりするのは、ステップ4から始めていることになり、成功を遠ざける原因となります。
準備8割の段階では、介護事業所がこのステップに取り組む際に壁に直面することが多いのも事実です。例えば、ステップ1では「どうやってチームを作ればいいのか?」という疑問が出てきます。今回の報酬改定でも、これが委員会設置と表現されています。次にステップ2では、「どうやって課題を明確にするのか」「課題についてどのように対話を深めるのか」「進め方がわからない」などの壁が出てきます。
広島県内の介護事業所への支援
今回、弊社は介サポひろしまの相談窓口対応のバックサポートも行います。生産性向上の取り組みに関するご相談やその他のお悩みがあれば、ぜひ窓口にご相談ください。窓口担当者と共に、広島県内の介護事業所の皆さまの生産性向上の取り組みをサポートしてまいります。
また、モデル介護事業所への伴走支援も行い、県内の介護事業所の皆さまの取り組みの参考にしていただけるよう尽力いたします。そして、セミナーを開催し、皆さまに生産性向上の取り組みについてお伝えしたいと考えています。
3.介護職場サポートセンターひろしま センター長あいさつ
介護生産性向上の取り組みは、「介護の価値」を高め、働きがいのある職場をつくっていくための最重要の取り組みだと考えています。「介護職場サポートセンターひろしま(通称:介サポひろしま)」では、多くの関係支援機関のご協力をいただきながら、介護事業所の皆さまの「介護の価値」を高めていくための、さまざまな取り組み(業務の見直し、人材確保・定着、ICT・介護ロボットの導入等)を後押しさせていただきます。
2024年度の介護報酬改定等も踏まえ、これから生産性向上に取り組もう、より良い職場環境づくりを始めよう、と考えられている介護事業所の皆さま、ぜひ当センターをご活用ください。
介護職場サポートセンターひろしま センター長 仁志田 訓司
お問合せ先
福祉人材課 介護職場サポートセンターひろしま
所在地:〒732-0816 広島市南区比治山本町12-2 県社会福祉会館1階
電話:082-207-2423
ファクス:082-256-2228
受付時間:平日9時~17時
※WEB相談は、次のセンターホームページ内の専用フォームで24時間受け付けます。
(返信には数日程度かかります)