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スキマ時間で活動する生活支援員の取り組み<福祉サービス利用援助事業の新たな担い手確保に向けて>

2024.07.10 掲載

 福祉サービス利用援助事業「かけはし」(以下、かけはし)は、一人でものごとを決めることが不安な人に対し、契約を結ぶことにより、日々の暮らしに必要な福祉サービスの利用手続きやお金の管理のお手伝いをして、安心して暮らせるよう支援する事業です。
 毎日の暮らしの中での不安や疑問、判断に迷ってしまうことなど、さまざまな場面での困りごとに対応し、社会福祉協議会(以下、社協)の専門員と、生活支援員が連携して支援を行います。
 かけはし事業の特徴は、利用者と同じ地域に暮らす住民が「生活支援員」となり、身近な相談相手としてつながりをつくり、支援を行うところです。
 今回は、子育てや仕事をしながらスキマ時間を活用して支援をしている、竹原市社会福祉協議会(以下、竹原市社協)の生活支援員さんの活動を紹介します。

活動のきっかけは、社協職員の声かけから!

当時の話で盛りあがる 専門員(左)と生活支援員(右)

 竹原市社協が生活支援員として雇用契約し活動している川重 春香(かわしげ はるか)さん。川重さんは、夫と子ども2人の4人家族です。
 川重さんは、学生時代に、ボランティア活動を行った経験もあり、現在でも家事・育児・仕事の合間に様々なボランティア活動に参加されています。
 今から6年前、竹原市社協のボランティア養成講座に参加。講座修了後、生活支援員募集の案内があり、さらに、かけはしの担当専門員から直接声をかけられたことから登録することになりました。
 最初の2年間は登録のみで、生活支援員としての活動はありませんでした。
 竹原市社協の東専門員は、「生活支援員としてではなく、竹原市社協のボランティア登録者としてのつながりがあったので、川重さんのライフスタイルは何となく把握していました。川重さんが動ける時間で、利用者の意向にそった支援があればと考えながら、いつでもマッチングできるように準備していました」と話します。
 そんな中、利用者からの支援依頼が川重さんの活動できる時間帯だったため、4年前から活動を開始されました。
 川重さんは支援日に、事前に決められた時間帯に社協へ行き、専門員に支援内容を確認したうえで、利用者の依頼に基づいて預貯金の払戻しを行います。その後、各種窓口への支払いや生活費を届けるため、施設入所している利用者のもとを訪問し支援計画に沿った支援を実施されています。

 

川重さんにインタビュー「生活支援員の活動は、スキマ時間を有効活用できる!」

生活支援員としてのやりがいは?

 利用者さんとゆっくり会話する機会は少ないですが、利用者さんのもとを訪問する前に、病院や薬局、美容院などへ支払いをしに各窓口に行くんですね。利用者さんとのコミュニケーションが取れない日でも、支払い窓口の人から情報を得ることも多いので、別の支援に活かせることも。支払い窓口に行けば「あ、かけはしさんね!今日は誰の支援(支払い)?」と関係機関の人から声をかけてもらうことも。向こうから声をかけてもらった時は、自分も生活支援員として認識してもらっているんだなと実感できて嬉しく思いますね。

薬局窓口で利用者の代わりに支払いをする生活支援員

同じ子育て世代に向けたメッセージ

竹原市社協の生活支援員さん

 現在中2と小5の息子を育てながら、平日の午前勤務で介護職員として働いています。仕事が終われば家事をこなし、夕方からは子どもたちの習い事などの送り迎えです。そんな日常生活の中、2週間に1回、午後の時間帯で、生活支援員として活動しています。
 生活支援員としての活動時間は1時間程度で、仕事や育児、家事に影響のない範囲で、「日常生活の中のスキマ時間」で活動しています。
 最初は、利用者さんの通帳を取り扱うことに抵抗もあり、子育ても仕事もあるし、生活支援員の活動までは難しいかなと思っていましたが、専門員さんに、自分のライフスタイルを理解してもらい、自分が動ける時間帯で誰かの役に立てるという説明を受け、「よし、やってみよう!」という気持ちになりました。
 同じ世代の仲間がもっと増えればいいなと願っているので、今子育てを頑張っているお母さんや、子育てが少し落ち着いたよって思っているお母さんたちに伝えたいことは、「フルタイムでは働けないけど、このスキマ時間なら何かできる!」という人にとてもピッタリな活動だということです。

 

竹原市社協 東専門員にインタビュー「生活支援員が活動しやすい環境づくりに向けて」

 かけはしは、地域に住む生活支援員の活動があってこその支援だと思います。
 利用者の方と関わる中で生活支援員に伝えていくことはもちろんありますが、専門員として逆に生活支援員から学ぶこともたくさんあります。利用者とのコミュニケーションを図る場面については、話し方もそうですが、実は聞き方も同じくらい上手です。困難ケースにどうやって対応したらいいか迷っていたら、「一緒に行こうか?」「自分から言ってみるよ」「こうやったら上手くいくかもよ」など、いつも心強い言葉をもらいます。
 だからこそ、生活支援員が利用者から頼りにされ安心感を与えられる存在になってもらいたいと思います。専門員としても利用者の生活状況やニーズを的確に把握し、日常的な金銭管理を生活支援員が安心して行えるよう、信頼される専門員をめざしたいです。

活動後、専門員と一緒に利用者の状況や支援内容を確認し、報告・記録する様子

 

権利擁護支援の担い手の養成と確保に向けて

 竹原市の取り組みでは、ボランティア養成講座での出会いを大切にして、生活支援員募集などの定期的な声かけや関わりにより、本人のライフスタイルに合わせた「スキマ時間」での生活支援員活動につながることを学びました。
 県内の生活支援員の活動者数は213人(令和5年度末)。生活支援員は、地域から孤立しがちな利用者にとって、利用者本人と地域とのつながりの維持や回復につながる重要な役割を担っており、必要不可欠な存在になっています。その一方で、かけはし利用者の増加や生活支援員の高齢化等により、地域を問わず生活支援員が不足している状況です。
 本センターでは、今後もかけはし利用者の増加が想定される中、利用者が地域で安心して生活が送れるよう、生活支援員の養成研修等の開催や講師派遣などに加え、各市町社協において工夫した生活支援員の確保や養成の取り組みを把握し発信していきます。  

お問合せ先

地域福祉課 あんしんサポートセンターかけはし

所在地:〒732-0816 広島市南区比治山本町12-2 県社会福祉会館1階
電話:082-254-2300
ファクス:082-256-2228
受付時間:平日8時30分~17時30分
 ※土日祝日・年末年始(12月29日~1月3日)は、お問合せフォームで受け付けます。
 (返信には数日程度かかります)

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