超高齢・人口減少の時代に合わせた福祉・介護人材の確保に向けて
2023.12.08 掲載
超高齢社会とともに、人口の減少が大きな問題として顕在化する中、福祉・介護の担い手の確保は喫緊の課題です。本会では、求職者への相談支援等を行う広島県社会福祉人材育成センターを運営するとともに、県行政や福祉・介護に係る関係機関・団体で構成する広島県福祉・介護人材確保等総合支援協議会の事務局として、関係者が一丸になった福祉・介護人材の確保等に向けた多様な取り組みをすすめています。ここでは、福祉・介護を取り巻く動向と、そうした取り組みを紹介します。
1.超高齢・人口減少社会はどんどん続く
「50年後の人口は8,700万人 4割高齢者 1割外国人」―50年後の日本の将来推計人口として、本年5月26日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、ショッキングな結果を公表しました。
わが国の人口は、2020年から50年後の70年には、1億2,615万人から3割減少の8,700万人に減少し、65歳以上の高齢者は、総人口の4割である3,367万人になる見込みです。また、人口の1割である939万人は外国人になるとのことです。
▲日本の総人口の推計(出典:R5.4.27中国新聞)
また、日本の総人口の平均年齢は、2020年時点で47.6歳、70年には54.0歳に上昇し、働き手の中心となる15~64歳は、20年の7,509万人から70年には4,535万人へと急激に落ち込みます。
まさに、超高齢・人口減少社会、さらには働き手の減少は、今後、待ったなしで進展するということが分かります。
2.福祉・介護の環境整備の必要性
こうした社会環境の変化等により、将来も安心して、住み慣れた地域で暮らせる社会づくりのためには、福祉・介護サービスの制度・施策の充実は必要不可欠です。そして、避けてはとおれないのが、担い手となる福祉・介護人材の確保です。
広島県では、いわゆる「団塊ジュニア世代」が65歳以上となる2040年には、約11,500人の介護職員が不足することが推計されており、その需給ギャップを埋めるためにも、福祉・介護人材の確保は喫緊の課題となっています。
3.福祉・介護業界が一体となった「広島県福祉・介護人材確保等総合支援協議会」
福祉・介護人材の確保等に向け、行政施策の充実とともに、福祉・介護職場で働く人が安心して働ける職場づくりを、関係者が一致団結してすすめるため、本県では、23機関・団体で構成する「広島県福祉・介護人材確保等総合支援協議会(以下、県協議会)」が主体になり、さまざまな取り組みを展開しています。
さらに、市町単位でも協議会の設置がすすんでおり、現在、17市町において、「市町版福祉・介護人材確保等総合支援協議会(以下、市町協議会)」が、関係機関・団体により設置運営されています。
「魅力ある福祉・介護の職場宣言ひろしま制度」の運用
広島県では、福祉・介護事業所の人材育成や人材確保に向けた取り組みを、「見える化」し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる事業所(法人)を認証する「魅力ある福祉・介護の職場宣言ひろしま」制度を平成27年度から運用しています。認証法人数は、令和5年12月現在で400法人を超えるなど広がりをみせています。
▲「魅力ある福祉・介護の職場宣言ひろしま」認証マーク
福祉・介護の仕事の魅力発信に向けた広報活動の実施
また、「福祉・介護の仕事の魅力」を発信し、より身近に感じてもらえるように、広報活動をすすめています。
広報誌「Gentle」の発行や「ナオキング調査団SUPER(動画)」を活用した小中学校での福祉・介護の仕事の魅力を伝える授業の促進、魅力発信イベントの開催等を行っています。
特に、今年度は、県内で活躍する若手介護職員を中心としたワーキングチームでイベントの企画運営を行います(イベント名:「介コレ~カイゴギャップコレクション~」、日時:令和5年12月10日(日曜日)13時~16時、会場:広島駅前地下広場)
▲ナオキング調査団SUPER(総合的な学習の時間で使える教材の提供)
▲福祉・介護の仕事の魅力発信イベント「介コレ~カイゴギャップコレクション~」
4.福祉・介護職場の発展に向けた現場関係者の声
県協議会では、県内の人材確保における動向や現場の悩み、今後の必要な取り組みなどについて、さまざまな意見交換が行われています。今年度の第1回協議会(8月17日)では、介護・福祉関係団体から、次のような意見がありました。
○老人福祉施設関係では、9割近くの施設が新卒者の採用ができず、人材不足感は否めない。
○医療法人関係が運営する老人保健施設では、9割が外国人材を採用している。
○訪問介護事業所では、平均年齢が高く、75歳の現役ヘルパーもおり、50歳代は若い世代である。
○本県で取り組む認証制度について、ブランド価値をしっかり持たせ、学生や求職者等へもっと広報周知していく必要がある。
○ICT・介護ロボットについては、補助金事業の拡充もあり、積極的な導入がすすめられている。働き方を変えるためには、デジタル化は不可欠。
いずれも、超高齢社会・人口減少社会の進展、福祉・介護職の不足がすすむ中、業界の人材確保・定着に向けた取り組みの重要性を訴えるものです。
5.人口減少の時代にあわせた一層の人材確保・定着に向けて
いつまでも安心して身近な地域で暮らせる環境づくりのために、福祉・介護に係る行政施策の充実化はもちろん必要不可欠ですが、私たち福祉関係者にも一定の取り組みが必要です。
様々な場所において、福祉・介護の仕事の魅力を伝える場づくり
主婦、学生、地域の福祉人材、ボランティア活動者、定年退職者、生活困窮者等、幅広い人たちに「福祉・介護の仕事の魅力」を伝える場を積極的につくり、少しでも多くの福祉・介護の担い手候補者を、担い手にマッチングさせる必要があります。
福祉・介護サービスの生産性向上に向けた取り組み
福祉施設・事業所においては、ICTや介護ロボット、介護助手の仕組みを導入、さらには外国人介護人材と連携するなど、現在の福祉・介護職の負担を軽減し、働きやすく、本来必要なケアに注力できる環境づくりが期待されます。
若い世代に向けた福祉・介護の仕事のイメージ改善の取り組み
小学校や中学校と連携した福祉教育や福祉体験学習の取り組みはもちろんですが、教育委員会等をとおした教育現場での業界理解の促進、福祉・介護業界を取り巻く関係者となるべく、養成校以外の一般大学等の学生へのアプローチも必要です。
本会では、広島県社会福祉人材育成センターを運営しており、求職者に対する相談支援や就職説明会の実施により、福祉・介護人材の確保に向けた事業を推進するとともに、県協議会の事務局として、関係機関・団体と協働した福祉・介護人材の確保等に向けた多様な事業をすすめています。
▲福祉・介護の就職説明会(就職フェア)の様子
超高齢・人口減少社会の進展により、今後ますます、福祉・介護の人材確保が急務となってくることが見込まれますが、こうした動きを基盤に、本会では、今後も、市町協議会やハローワーク、大学・養成校、種別団体などの関係機関・団体との連携を一層強化し、人口減少の中での福祉・介護人材の確保等に努めていきます。
お問合せ先
福祉人材課
所在地:〒732-0816 広島市南区比治山本町12-2 県社会福祉会館1階
電話:082-254-3415
ファクス:082-256-2228
受付時間:平日8時30分~17時30分
※土日祝日・年末年始(12月29日~1月3日)は、お問合せフォームで受け付けます。
(返信には数日程度かかります)