令和5年度広島県社会福祉大会を開催しました!
2023.12.08 掲載
令和5年11月13日(月曜日)に、アステールプラザ 中ホール(広島市中区)において、令和5年度広島県社会福祉大会を開催し、表彰式典と記念講演を行いました。
被表彰者及び福祉関係者189人の皆さまにご参加いただき、盛会のうちに終えることができました本大会の様子をご紹介します。
表彰式典
表彰式典では、県知事表彰、県社協会長表彰、県共同募金会会長表彰を行い、県社協会長表彰では、永年にわたり社会福祉の向上に尽力されている、民生委員児童委員をはじめ、社会福祉施設や社会福祉協議会・民間福祉団体等の役職員、地域のボランティア団体から247人、9団体が受賞されました。
県社協会長表彰 受賞者の紹介「表彰を受けての想い」〈はるかぜ日本語教室(広島市)〉
(表彰式典にて 写真右から、代表の佐藤雅子さん、城本朝子さん、西田成美さん)
「はるかぜ日本語教室」は、平成9年8月にPTA地区会の親たちの輪から、乳児院などのボランティアを行う「はるかぜ」として活動を開始しました。
日本語ボランティアとしては、平成10年、友人からインドネシアの夫人の日本語サポートを頼まれたことをきっかけとして、留学生への日本語サポート活動を開始し、平成20年には「はるかぜ」から「はるかぜ日本語ボランティア」として独立し、現在は「はるかぜ日本語教室」として留学生会館で週に1回、外国人に日本語のサポートや日本文化の紹介をしています。
(留学生会館での活動の様子)
また、留学生が在籍している高校へ出向き、留学生が日本語や日本文化を学ぶサポートもしています。
はるかぜ日本語教室代表の佐藤雅子さんは、このような学校活動で、トルコからの留学生を担当した際に、留学生と日本の学生とが交流する中で、「イスラム教」という異文化に直接触れ、お互いのことを認め合い尊重しあうことの大切さを学生達が学んでおり、そのような貴重な体験に身近に触れることが自身にとってもボランティア活動での貴重な学びになっていると話されます。
佐藤さんは、留学生が、学校や地域で孤立することなく生活するためには、このようなボランティア活動団体を含む、学校や地域での受け入れ体制が整っていることが重要だと考えて活動されています。
この度の表彰を受けて、佐藤さんは、「栄誉ある賞をいただいて、とても光栄に思っております。これからもこの日本語ボランティア活動を通して、外国人や留学生の日本滞在のサポートを続けていきたいと思っております。現在、私達と一緒にボランティア活動に参加していただける方を募集しています。英語の得手不得手は問いませんので、興味のある方は是非ご連絡をください!」と、これからの活動により一層の思いを込められています。
(取材の様子)
記念講演「ヤングケアラーの現状とこれからの取り組み」
記念講演では、一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会代表理事 持田 恭子様に、「ヤングケアラーの現状とこれからの取り組み」と題して講演をしていただきました。
ヤングケアラーとは
持田先生は、小学生の時には知的障害のある兄と母親の感情面のケアを担ってこられたヤングケアラーで、成人してからも要介護5の母親の在宅介護と兄の生活介助を行ってきたケアラーです。ご両親はすでに他界され、お兄さんは障害者施設で暮らしているそうですが、帰省のたびに身体介助を続けておられます。ヤングケアラーは家族のケアをしている18歳までの子どもで、法的には明確な定義はありません。定義づけてしまうことで、大人が子どもを分け隔ててしまう危険性があるとおっしゃっていました。
また、障害や病気などがあることで家族によるケアを必要とする兄弟や姉妹がいる子どものことを「きょうだい児」といいます。子どもの育児は親が行っていますが、親を手伝っているうちに「きょうだい児」がケアを任されることもあります。そのため、「ケアのお手伝い」と「通常のお手伝い」は線引きが難しくなることがあるそうです。きょうだい児は、親亡き後は、自分がどのくらい障害児の世話をすればいいのかという不安を幼い頃から持っています。まだ起きていないことに不安を感じることを「先取り不安」と言うそうです。若いうちに将来への漠然とした不安を解消しないまま大人になる生きづらさを感じてしまうことがあります。
ヤングケアラーの中には、家族を支えていることに誇りを持っている子どもがいます。しかし、「生活が苦しい家庭の子どもがヤングケアラーだ」とか「介護のために学校にも行けないこと」から救ってあげようといったマイナスのイメージと憐れみの感情が世間に拡がってしまったので、自分がヤングケアラーだと名乗ってしまうと家族のことを悪く言うようで申し訳ないと罪悪感を抱かせてしまっているそうです。わたしたちはヤングケアラーを可哀そうな子どもとして捉えないように注意を払わなければなりません。
自分自身で「気づくこと」
国が行った実態調査では、本人が「自分がヤングケアラーである」と認識していないことが7割強という結果があります。また、本人がヤングケアラーであることを、自覚していないから、相談しないから支援ができないという言葉を耳にすることがありますが、子どもは「ない、ない」と言われると自分の人格を否定されているように感じてとても嫌な気持ちになるそうです。
「ケア」には、身体介助や感情面のサポートに加え、常に家族を気づかうなど「配慮をすること」も含まれており、様々なケアがあることを大人が理解する必要があります。周囲が無理矢理子どもに「自覚」させるのではなく、「子どもが自分自身で「ヤングケアラーかもしれない」と気づくような環境を整備することが大切である」とのことです。
頑張りを認めてあげる
皆さんは、家族を支えている子どもに「優しいね、えらいね」と褒めたたえるような言葉をかけていませんか?そうした声かけは子どもにとっては余計にプレッシャーになるそうです。ヤングケアラーは、同級生と同じ「学生」でありながら、家族の要望を受け容れ、家族が出来ないことを代行しながら家族を支えている子ども達です。誰かに「よく頑張っているね」と声をかけてもらって初めて「自分はよく頑張っているんだ」と自分で自分を認めることができるようになります。子どもたちには、頑張っていることを認めるような声かけを心がけてほしいそうです。
自分のために将来を選択する
一社)ケアラーアクションネットワーク協会では、中学生と高校生のきょうだい児とヤングケアラーを対象にしたオンラインの交流会を月1回開催しています。他にも、おとなになったきょうだい児やケアラー、支援者などが集まる対面の集いを年4回開催しています。同協会では、このようなケアラー同士の交流の場を設けたり、ケアラーの周りにいる支援者の人材育成をしたり、ケアラーの理解を深めるための啓発事業を行っています。
世の中の人が、「ヤングケアラー」の現状を正しく理解し、ケアラーが自分自身を客観的に見つめなす機会を得ることにより、家族だけで家族のケアを抱え込まず、自分の将来を自分のために選択し、自分のために生きていいのだという事を知ってもらいたいとおっしゃっておられました。
今回の記念講演では、「ヤングケアラー」の様々な現状を知ることによって、地域や学校でその存在や多様性を正しく理解し、家族だけで家族のケアを抱え込まず、すべての人が自分の将来を自分で選択できる世の中にするためには、社会福祉関係者として、また地域住民として何をすべきか考える機会となりました。
本会は、福祉関係者とともに、誰もが生きがいや役割を持ち「ともに生きる」地域共生社会づくりに取り組んでいきます。
(講演の様子)
お問合せ先
総務企画課
所在地:〒732-0816 広島市南区比治山本町12-2 県社会福祉会館1階
電話:082-254-3411
ファクス:082-252-2133
受付時間:平日8時30分~17時30分
※土日祝日・年末年始(12月29日~1月3日)は、お問合せフォームで受け付けます。
(返信には数日程度かかります)