一生現役!学び続けるチカラ ~ケアマネジャーへの道のり~
2023.02.10 掲載
本会社会福祉研修センターは、広島県知事の指定機関として、介護支援専門員実務研修受講試験(以下、ケアマネ試験)と介護支援専門員実務研修(合格者対象)及び更新(実務未経験対象)・再研修を実施しています。
今回は、令和3年度ケアマネ試験に過去最高齢の77歳で合格し、78歳で晴れてケアマネジャーとして登録された佐伯暢昭さんに「ケアマネジャーへの道のり」について、お話を伺いました。
ケアマネジャーの資格取得をめざすきっかけ
自身の父が99歳まで画家として筆を持つ姿や、妻の母が89歳までスイミングを楽しむ姿など高齢の家族が頑張っている姿を見て、自分の定年後のセカンドライフは高齢者が活き活きと過ごすための支援がしたいと一念発起し、福祉の現場に飛び込みました。
66歳で2級ヘルパー、72歳で介護福祉士を取得。介護職場で働くうち、介護以外にもっと高齢者の声に耳を傾け、どうすれば豊かな人生を送ることができるのかを一緒に考えたいと思うようになり、スキルアップも兼ねて、ケアマネ試験に挑戦することにしました。
試験に合格するまでの道のり
72歳で介護福祉士資格を取得し、その後、受験に必要な5年間の実務経験を積みながら、毎日、1時間半程度、自分のペースでコツコツ受験勉強を続けました。通信講座などは利用せず、自学自習のみで挑んだので、はじめのうちは書店に並ぶ参考書や問題集をいろいろ試してみたものの、なかなか自分のレベルに合うものがなく、テキスト選びに苦労しました。その後、自分に合ったテキストを基本に繰り返し勉強し、並行して過去10年分の試験問題を解いていくうちに出題傾向やポイントがつかめるようになりました。理解が進むと勉強も楽しくなってきて、休みの日には図書館に通うようになりました。目標を持って学ぶこと、空いた時間を有効活用できることがモチベーション維持につながりました。
そして、職場の皆さんの応援が何よりのチカラになりました。上司や同僚が常に励ましてくれました。職場の人、環境に恵まれたことが、私が学び続けることの原動力と合格への道しるべとなりました。
試験には満を持して臨み、終わった時には手応えを感じました。自己採点をしてみると例年の合格ラインをクリアしていたので、合格通知の到着を楽しみに待ちました。実際、合格通知を受け取った時には、今までのことが走馬灯のように思い出され、感極まるものがありました。ケアマネジャーとなり、自分がめざす利用者の声に耳を傾け、豊かな人生を送るためのケアプランを一緒に考える仕事ができると改めて実感したのです。
実務研修について
試験に合格しただけではケアマネジャーにはなれません。合格後はオンラインでの動画視聴研修17科目と集合研修が6日間、そして課外実習が3日間あり、課題を提出しなくてはなりません。慣れないオンライン研修の受講には本当に苦労しました。しかし、職場の人にパソコンのセッティングやオンラインでの受講方法など手厚いサポートを受け、何とか研修を終えることができました。自分の研修日程を優先してもらうなど、職場のみなさんが協力してくれたので、研修参加後は毎回、レポートを書いてどんなことを学んでいるのか回覧するようにしました。
オンライン研修は便利ではありましたが、一方通行で自分が正しいのかどうか掴めず、味気なく感じることもありました。しかし、集合型の研修ではグループメンバーと意見や情報を交換でき、非常に楽しく学びも大きかったです。講義の中でも「多職種間でのネットワークづくりをしましょう」という話があり、少しずつですが、広がりを持つように努めています。
こんなケアマネジャーになりたい
現在はケアマネジャーとして従事はしていませんが、実務研修で学んだ利用者のニーズや課題発見のための手法を念頭に置いて、利用者と接するようにしています。日常の何気ない雑談の中に本人の希望や思いが含まれていることもあり、気づいた時は施設に伝えるようにしています。
ある男性利用者が「介護現場は女性のケアマネジャーが多いんよ。優しいけぇええんじゃが、時には話しにくいこともあるけぇのう」と話してくれたことがありました。男性同士だからこそ、今までの仕事や趣味の話などをすることもできます。画一的な支援ではなく、相手の望んでいることを察知し、信頼関係を築き、本人が希望や思いを話しやすいケアマネジャーになりたいです。人生はこれからです。やりたいことがまだまだたくさんあるので、一生現役で頑張りたいと思っています。
佐伯さんが働く施設の桜田施設長、谷口生活相談員にお話をうかがいました!
ゆうあいの里とは
養護老人ホームという比較的元気な人が多い施設ということもあり、保育園児、小学生との交流をはじめ、中学生の職場体験も積極的に受け入れています。地域のみなさまと共に生きるために盛んに交流を行い、地域に開かれた施設であるよう心がけています。
また、さまざまな高齢者施設がある中で、「選ばれる」施設は「高品質なサービス提供と人を思いやる心と笑顔」と考え、職員一人ひとりが共にやりがいを持って働き、働き続けていけるよう、そして広島友愛福祉会という一つのチームで意見を出し合い、認め合い、高め合うことができるよう、人材育成にも力を入れています。
佐伯さんのケアマネ受験について
近年のケアマネ試験は難しく、合格率もさがっていると知っていたので、佐伯さんから受験したいと初めて相談を受けた時は、年齢的なこともあり、正直、驚きました。しかし、後悔しないよう挑戦してもらったほうがいいのではと考え、応援することにしました。
佐伯さんの何事にも意欲的で、努力する姿は若い職員に良い刺激となっており、学びのお手本となっています。合格の報告を受けた時には努力が実を結んだことを施設全員で喜び、大きな拍手を送りました。
仕事に活かしてほしいこと
佐伯さんは人生の大先輩といえる年齢であるにもかかわらず、低姿勢でいつも穏やかで気さくな人柄です。施設内でも積極的に利用者に話しかけられ、人気者です。
今後ケアマネジャーとして活躍する時には、介護現場を熟知した佐伯さんだからこそのケアプランを作成してほしいです。ケアマネジャーの理想とする模範的なケアプランだと、どうしても現場の現実とのギャップが生じてしまいます。現場の状況をよく知っている、そして高齢者の気持ちがよくわかる佐伯さんだからこそ、そのギャップを埋めていくような、そして有意義に活かせるケアプランの作成を期待しています。
◆プロフィール◆
(社福)広島友愛福祉会 大竹市養護老人ホームゆうあいの里 佐伯 暢昭さん
昭和19年生まれ。定年まで一般企業の財務経理の仕事に従事。
平成22年66歳で2級ヘルパーを取得し、介護職員として経験を積む。平成24年68歳の時に社会福祉法人 友愛福祉会に入職し、デイサービス、障がい者(児)施設で介護業務に従事する。平成28年72歳で介護福祉士の資格を取得。令和3年4月に法人内の異動で養護老人ホームの介護職員となり、同年77歳の時に介護支援専門員実務研修受講試験に合格。実務研修を修了した令和4年78歳で介護支援専門員に登録。
今の施設は老人福祉法に基づく施設なので、学んできた介護保険法のケアプランとは異なっていることがある。学ぶことは楽しいし、生きがいだと継続して勉強中。常に前向きな姿勢で、人の役に立ちたいと入所者に寄り添う日々が続く。
〈 入所者に寄り添い、気さくに応対する佐伯さん(右) 〉
〈 社会福祉法人 広島友愛福祉会 〉
ゆうあいホーム・ゆうあいの里
※(社福)広島友愛福祉会は、広島福祉・介護人材確保等総合支援協議会が働きやすい職場づくりに取り組む優良法人を認証する「魅力ある福祉・介護の職場宣言ひろしま制度」のスタンダード認証法人です。
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