令和4年度広島県社会福祉大会を開催しました!
令和4年10月25日(火)に,アステールプラザ 中ホール(広島市中区)において,令和4年度広島県社会福祉大会を開催し,表彰式典と記念講演を行いました。
当日は,被表彰者及び福祉関係者166人にご参加いただき,盛会のうちに終えることができました。本年度の大会の様子をご紹介します。
表彰式典
表彰式典では,県知事表彰,県社協会長表彰,県共同募金会会長表彰を行い,県社協会長表彰では,永年にわたり社会福祉の向上に尽力されている,民生委員・児童委員をはじめ,社会福祉施設や社会福祉協議会・民間福祉団体等の役職員,地域のボランティア団体から315人,11団体が受賞されました。
県社協会長表彰 受賞者の紹介・表彰を受けての想い~津名地区振興協議会(世羅町)
津名地区振興協議会は,昭和53年4月から44年間にわたり,地域の生活課題に対して,まず自分たちに何ができるかを考え,その課題に対して新たなサービスや仕組みづくりに取り組んでいます。特に,地域の過疎化が進むことによって出てきた福祉課題等に着目し,さまざまなアイデアを出し合いながら取り組んでいます。
主な活動内容としては,①過疎地域の交通対策として,福祉送迎サービスの実施 ②買い物支援事業として,廃業になった個人商店を引き継ぎ「ふれあいショップ津名」を運営することによる店内サロンや地元の野菜産直市,配達・送迎サービスを通しての見守り活動 ③見守りサポート事業 ④第2層生活支援コーディネーターを配置し,関係機関と連携しながら,地域の高齢者の生活支援などを行っています。協議会の活動は,世羅町内の中でもいち早く取り組まれており,他の地域が取り組まれる際のモデル的な存在となっています。
こうした積極的な社会福祉活動の功績が認められ,県社協会長表彰の受賞へとつながりました。
大会当日,「社会福祉事業協助団体」の受賞者を代表して登壇された津名地区振興協議会の福岡哲雄さんは,「『地域の福祉のために』と活動してきたことを世羅町社協から推薦していただき,受賞できたことを光栄に思っています。これからも地域の福祉のため,世羅町社協と協力し合い,ともに取り組んでいきたいと思います」と想いをつづられました。
壇上で県社協 山本会長から表彰状を授かる津名地区振興協議会の福岡哲雄さん(写真右)
記念講演「認知症とともに生きる~写真を通して社会に伝えたいこと~」
記念講演では,写真家の下坂 厚さんに,「認知症とともに生きる~写真を通して社会に伝えたいこと~」について,対談形式でお話しいただきました。
絶望から希望へ
下坂さんは,令和元年46歳のときに,仲間とともに鮮魚店を立ちあげた直後,若年性アルツハイマー型認知症と診断を受けました。
診断直後は,「人生が終わった」と大きな絶望に陥り,しばらくは家族にも話せず,一人で抱えていたそうです。仲間に迷惑をかけるわけにはいかないと,鮮魚店も退職されます。人生に大きな不安を抱える中,京都市の認知症初期集中支援チームの家庭訪問がきっかけとなり,現在のデイサービスでの介護職の就職へとつながりました。
認知症であっても,まわりの理解とサポートを受けながら,生き生きと働くことができるということ, 同じ認知症当事者との出会いや,家族の会の世話人などさまざまな人との縁を通じて,絶望から希望へと前向きな気持ちに変わっていく下坂さん自身の想いを伝えていただきました。
写真を撮ることは「祈り」
趣味としてずっと続けていた写真も,認知症になってからは,1日の記憶をつなげて振り返ることが難しいため,自分の「記憶とつなぐもの」になりました。デイサービスの利用者や街中で笑顔の親子など人物を撮ることが増え,その日常の光景や想いの瞬間がずっと続いてほしいという願いでシャッターを押すのだそうです。また,認知症の人の世界を知ってほしいという想いから写真をSNSで発信されています。
診断直後の当事者へのサポートが大事
自身の体験から,診断直後の当事者のサポートがとても大事であるということを痛感した下坂さんは,仲間とともにピアサポート活動に取り組まれるとともに,当事者の人がよりよい生活をできるように,まずは社会が持っている認知症のイメージを変えていくため,実名を公表しSNSの発信や講演活動,写真展などに積極的に取り組まれています。一方で,医療・福祉専門職に対して,認知症の人にとって必要な情報を集約し,迅速に情報提供できるような仕組みづくりを期待したいと述べられました。
記念講演の最後に,下坂さんから,「いろんな縁があり,福祉の世界を知ることができた。福祉・介護の仕事を通じて,生きていくうえで大事なことを学ばせていただいている。利用者さんの過ごされている場面では,とてもよい瞬間に出会えるので,今後も写真を通じてさまざまな人に伝えていきたい。また,認知症当事者同士の出会いの大切さなど,認知症に対するイメージ(偏見)を変えていきたい」と熱い想いをつづられました。
今回の記念講演では,若年性認知症を抱えながらも,一人の人として前向きに生きる姿を通して,社会に関わって生きていくことの尊さや,人と助け合い,誰かの役に立つことの豊かさについてのお話など,当事者が暮らしやすい地域にしていくために,福祉関係者として,また地域住民として何をすべきか,考える機会となりました。
本会は,福祉関係者とともに,誰もが生きがいや役割を持ち,「ともに生きる」地域共生社会づくりに取り組んでいきたいと思います。
写真右から,講師の下坂厚さん,インタビュアーの本会地域福祉課 高原 地域共生社会推進担当
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